Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022受賞者、藤井光(ふじいひかる)氏の経歴などを詳しく解説します!

藤井光氏は、1976年に東京都で生まれ、現在も東京都に在住しています。彼は2004年にパリ第8大学美学・芸術第三博士課程DEAを修了しました。藤井氏の作品は、芸術が社会と歴史と密接に関わりを持ち、同時代の社会課題に応答することを目指しています。彼は様々な国や地域固有の文化や歴史を綿密なリサーチやフィールドワークを通じて検証し、主に映像インスタレーションとして作品を制作しています。藤井氏の方法論には、領域横断的な芸術的協働をもたらすワークショップや「リエナクトメント」と呼ばれる手法があります。彼は各分野の専門家とのワークショップを企画し、参加者と共に歴史的事象を再演することで過去と現代を創造的につなぎあわせます。また、参加者による活発な意見交換を促す議論の場を作り出すことで、歴史や社会の不可視な領域を批評的に探求しています。

さらに、藤井氏は2017年に「日産アートアワード2017」でグランプリを受賞しています。
主な作品については2019年の「核と物」(KADIST、パリ)
2020年の「もつれるものたち」(東京都現代美術館)
2021年の「3.11とアーティスト:10年目の想像」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)
2021年の「ART 5 – KUNST UND DEMOKRATIE」(PLATFORM München、ミュンヘン)があります。

また2023年4月26日10時〜5月31日未明にはオンラインのクラウド展覧会「日本の戦争美術 1946」を開催しました。

2022年に東京都現代美術館で行われた「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA) 2020-2022 受賞記念展」で発表した、日本の戦争絵画をめぐるインスタレーション作品をすべて解体のうえ組み直し、ボックス&インスタレーション作品を制作。その全153点を「日本の戦争美術 1946」として公開しました。

また現在制作中の新作では、藤井氏は自身の過去と向き合うテーマを取り上げ、主観的なアプローチを採用することを計画しています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により実際の調査や制作が滞っているとのことです。彼は過去に検閲や抑圧的な政権下で制作しているアーティストたちの姿勢をモデルにし、制作の詳細や進捗状況を事前に公開することを避けています。

藤井氏は長期にわたって1つの主題や対象に取り組み、作品を完成させるまでに数年の時間をかけています。彼の制作スタイルは現代社会と密接に関わるテーマを扱っているため、パンデミックなどの社会の変動に敏感に反応し、制作の手法や対象との関係性に影響を受けやすいと言えます。

藤井氏は審査会でレクチャーパフォーマンスを行い、自身の活動について振り返りながら審査員からの質問に答えました。彼は現代美術やパフォーミングアーツの分野で注目されている表現形式であるレクチャーパフォーマンスについて言及し、地域や文化圏を超えて政治や社会の問題を共有し議論する世界的な潮流が存在することを指摘しています。

藤井光氏の作品は、芸術と社会の関係や歴史的なテーマを深く掘り下げ、現代の社会課題に対して力強いメッセージを発信しています。彼の作品は芸術的な視点から社会を見つめ直すきっかけとなり、人々に新たな考え方や洞察を与えることでしょう。