Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021

受賞した下道基行氏とはどんな経歴の人物?作品なども併せて紹介します!

下道基行(したみちもとゆき)氏は、1978年に岡山県で生まれました。彼は日本の現代美術家であり、写真や文章を通じて独自の表現を展開しています。下道氏は、2001年に武蔵野美術大学造形学部油絵科を卒業し、その後も芸術の道を追求してきました。彼は大学卒業後、4年間の間に日本全国を旅しながら戦争に関連する遺構の現状を調査し、その成果を「戦争のかたち」という写真集としてリトルモアから出版しました。この写真集は、日本全国に残る軍事遺構の姿を捉えたものであり、その歴史的背景や現代社会との関わりについても考察されています。

また、彼は祖父の残した絵画を追う旅をテーマにしたシリーズ「日曜画家 / Sunday Painter」を展示と手製本の写真集として発表しました。このシリーズでは、彼自身が旅を通じて祖父の足跡を追い、彼の絵画の背後にあるストーリーや意図を探求しています。彼は写真と文章を組み合わせることで、個人の歴史や記憶、そして芸術の持つ力を表現しています。

さらに、下道氏は「Re-Fort PROJECT」というプロジェクトでも活動しています。このプロジェクトでは、日本全国に放置されている軍事遺構を一時的に利用し、スクウォッティングやイベントを行いながらそれらの遺構を記録しています。彼は独自の視点で遺構の歴史や意味を探求し、そこから新たな物語を生み出すことを試みています。また、下道氏は日本の国境線の外側を旅し、日本植民地時代の遺構の現状を調査するプロジェクト「torii」にも取り組んでいます。

彼は植民地時代の痕跡や影響を写真に捉えることで、歴史的な出来事や地理的な境界が人々に与える影響について考えさせます。下道氏の作品は、さまざまな展覧会やグループ展で発表されてきました。彼の作品は、2012年の「MOT アニュアル 2012 風が吹けば桶屋が儲かる」そして「光州ビエンナーレ 2012」2013年の「六本木クロッシング 2013」や「返常:アジアンアートビエンナーレ 2013」2014年の「恵比寿映像祭 2014」や「Once is not enough」など、国内外の展覧会で高く評価されています。

幼少期から古墳や貝塚に興味を持ち、考古学者になることに憧れていた下道氏は、現在では写真や文章を通じて風景や遺跡の持つ意味を追求しています。彼の作品はモノやコトの残り方や消え方、風景の中に内包されたストーリーに焦点を当て、視覚と思考を刺激するものです。下道基行氏の作品は独自の視点から歴史や風景を捉え、人々に新たな視点や感覚をもたらす力を持っています。彼の旅やフィールドワークを通じて探求された作品は、観る人に深い洞察と感動を与えることでしょう。