受賞作品

グランプリ

謝花翔陽 (東京藝術大学)

「私の頭蓋/あの子の名前/月の裏側」
受賞のコメント

すごく個人的な作品で、果たして他の人に伝わるか疑問もあったので、グランプリをいただき驚いています。本当に嬉しいです。(謝花翔陽)

審査員評

謝花翔陽の作品の特質は、儀式性だ。幾層もの明るい色を黒くコーティングした画面を直接、指や爪でひっ描く。生まれた線描の世界はカオスに満ち、光、泉や女たち、アニミスティックな生命感にあふれた世界が掛かれる。楽器、テーブル、TVなど、彼を取り巻く全てのモノも、同様の『変成の儀式』の対象となるのである。(後藤繁雄)

準グランプリ

宮下幸菜 (多摩美術大学)

「地獄ごっこ」
受賞のコメント

この様に迎えて頂いた事は私にとって大きな刺激となりました。これからも日々自分に素直にイメージを膨らませたいと思います。(宮下幸菜)

審査員評

宮下が描く女性像は、自己の思想、体験が投影された姿である。《地獄ごっこ》と題された受賞作は、「地獄にいることが幸せ」と言い切る宮下の内面世界が色濃く反映されるとともに、現代社会の一面を私たち観る者に突きつけてもいる。絵画に昇華させたゆるぎない独自性その強さに私たちは魅了された。(植松由佳)

審査員賞

[ゲスト審査員] 松井冬子賞 郷治竜之介 (東京藝術大学)

「木々」、「木々」
審査員評

作家の着目している光に対して、一点を凝視しつづけて制作していることが素晴らしいと感じました。具体的に執着し、凝視し続け身体に取り入れ、それを出力している点など絵画をよく知っていないとできないと思います。飴細工のような質感でできた苔色のような緑色など、質感が色との組み合わせによって、より際立っている点も評価しました。
絵画というのは本当に恐ろしいもので、作家の人と成りが結構正直にぱっとでてきてしまうものです。どれだけその作家が何を学んできたかということが一目でわかってしまう恐ろしいもので、芸術の中でも特に厳しい分野です。今回の審査会は私にとっても大変勉強となりました。ありがとうございました。(松井冬子)

天野太郎賞  伊勢周平(東京藝術大学)

「灰色の球」、「ぐるぐる」
審査員評

伊勢作品は、描く対象に何かを語らせるのではなく、描く行為、または事態そのものに重きを置いている。
人間にとって最も古い表現手段の一つである絵画の本質を今一度問い直そうとしている。(天野太郎)

植松由佳賞/長谷川祐子賞  比果彩(京都市立芸術大学)

「無題」
審査員評

街角で見慣れた選挙ポスターの掲示板。学内にあったという朽ちたこの木製ボードを比果は、スパンコールのきらめきを付与したファウンド・オブジェへと見事に転換している。選挙システムに組み込まれたツールの一つである掲示板を、比果の欲望のツールで装飾することで日本の現代社会への諧謔精神を潜ませてもいる。(植松由佳)

政治、経済といった社会性を帯びた「男性的な」主題にグリッター、スパンコールなどの「女性的な」装飾あるいはコメント的な介入を付加することで、対象のコンテクストや価値を軽やかに脱構築しようとしている。ゴールドで日常的なものを作るダン・ホー的な批評のありかたと逆の、日本の若い女性作家としてのリアリテイが、抑制的なキッチュの用い方に現れている。(長谷川祐子)

後藤繁雄賞  髙畠依子(東京藝術大学)

「Golden Snow」、「Untitled」、
「Coordinate table」
審査員評

絵具というフェティッシュなものをファブリック的にレイアー化し、絵画の可能性を追求する。その近さの魅力(=手仕事)と、その対極にある他者性(=テクノ/システム)が入りまじり今後が期待できると思われた。その両面のアプローチに挑戦できるか課題だ。(後藤繁雄)

木幡和枝賞  柄澤健介(金沢美術工芸大学)

「変わらぬ地平」
審査員評

集合、堆積、変性、析出…物質界の変奏曲がそこここに表出している世界。そのマグマのエネルギーを底に押さえ込んだ白い積層は濃厚なエネルギーを蓄えた音楽だ。立体作品が少ないとも言われる今年度、立体派へのエールも込めて。(木幡和枝)

小山登美夫賞  中村奈緒子(東京藝術大学)

「鍾乳洞」
審査員評

身近な素材に作業を与えながら構築された物体。彫刻というには開かれすぎていて、インスタレーションというには纏まりがある。合板、ひも、ペットボトルに加えられる作業は日常の作業と大して変わず、見る人は追体験ができ、その物体の空間を庭のように歩くことができるようだ。色、形ともに感性豊かで、とても楽しむことができた。(小山登美夫)

佐藤直樹賞  大平由香理(東北芸術工科大学)

「歓喜する爆発」
審査員評

圧倒的な山並みから得たエネルギーをそのまま創作の力へと転換している。非常に単純だがそこに心打たれた。荒削りな作品も多いけれどまぁいいではないか。数をこなしているうちにそこは変わっていくだろう。それよりも自分が受け取った感動を作品を通して人に伝えようとする態度に共鳴する。じっくり取り組んでほしい。(佐藤直樹)

高橋明也賞  大和美緒(京都造形芸術大学)

「周縁都市の輪郭」
審査員評

制限された狭い展示空間を逆手に取り、限られた空間を上手く利用してプレゼンテーションしてみせた、よく考えて作り込んできたプロセスの勝利かと思います。
また、鮮やかに平面と立体の境界を超え非常に詩的な作品に仕上げてきた、その詩的な心を評価しました。(高橋明也)

三菱地所賞

平川恒太 (東京藝術大学)

「Trinitite - アッツ島玉砕」
受賞のコメント

学生生活一つの目標だったa.a.t.m.に参加できただけでも喜ばしい事なのに、三菱地所賞までいただき本当に光栄です。賞に恥じない作家になれるようこれからも精進します。(平川恒太)

審査員評

政治的な内容をメッセージやスローガンの図示というやり方でなく、絵画の課題として対処しようとしている点を評価した。近代以降の我々の絵画の歴史がいまだに借り物かもしれないという刺激的な指摘をも含んでいる。(野口玲一・三菱一号館美術館学芸グループ長)

シュウ ウエムラ賞、アッシュ・ペー・フランス賞

吉田芙希子 (京都市立芸術大学)

「Thorn prince」
受賞のコメント

a.a.t.m.はいわゆる通路での展示なので、大勢の一般の方が使用されるわけですが、その中で通りすぎたり、立ち止まって見てくれたりする様子を、間近で見ることができたことはとても新鮮でしたし、刺激になりました。これからも魅力的な作品をつくれるように頑張っていきたいと思います。(吉田芙希子)

審査員評

自分の理想像をピュアに追及している吉田さんの作品に、女性や男性といった性別を超え、また時代をも超えた普遍的な美を感じました。また、発泡スチロールや粘土を使いながら陶器のようなテクスチャーと輝きを生み出し、素材に対してもチャレンジ精神を持って取り組まれている姿勢にも期待を寄せています。(村岡晴美・シュウ ウエムラ インターナショナル PRマネージャー)

ストレートでピュアな想いで制作する作家が多い印象を受けました。その中でも「自分の理想の男性像」というとても素直で根源的なテーマに惹かれました。「理想」という探求しがいのあるテーマを今後どのように展開していくかとても楽しみです。(戸塚憲太郎・hpgrp GALLERY東京ディレクター)

フランス大使館賞、オーディエンス賞

野原万里絵 (京都市立芸術大学)

「Unpredictable - working title 」
受賞のコメント

オーディエンス賞に選んで頂き、ありがとうございます。お忙しい中、足を止めて作品を観ていただいていた姿を想像し、とても嬉しく思いました。作品を展示することは毎回、とても恥ずかしく緊張しますが、鑑賞者のみなさんがこうして作品から感じ取っていただける機会になれば幸いです。(野原万里絵)

審査員評

私が選んだ作品は、革新と伝統を上手く組み合わせたものであります。 また、作品の制作の中に一般の人々を巻き込んだ点を評価しております。(フランス大使館文化担当官 ディアーヌ・ジョス)

投票者評
  • 作品をつくる動機と結果。(20代男性/自営業)
  • 空間の使い方、数少ない色の使い方、絵を描く姿勢が興味深い。(50代女性/その他)
  • 力強い中にもセイサイさがあるように思えた。(30代女性/会社員)
  • モダンなモチーフとライン。(60代女性/主婦)
  • 色も構図もひきつけられてしまった。共感したのは、作品を描いた気持ち。私も今、模索し色々試みている。(画家ではないが)(40代女性/会社員)